The Network is Water

Sun Microsystemsの商標 “The Network is the Computer.”をもじった言葉。ネットワークこそ水の本質である、という意味です。

水がいろいろな変わった性質を持つのは、水分子の性質というよりも、水分子が水素結合によって編み上げるネットワークのせいです。

ひとつの水分子は、2種類、3つの原子だけからなる、極めてシンプルな構造しか持っていません。このようなシンプルな構造は水特有のものではなく、ほかにも同じような形の分子はたくさんあります。水の特異な物性は、すべて、水分子が互いに水素結合することで、ネットワークが形成された時にはじめて発現します。(むしろ、水素結合ネットワークの関係する物性はすべてほかの物質の物性とはどこか違って見えると言っても過言ではありません。)

冷凍庫で水を冷やすと氷(専門的には氷1h)になります。高い圧力を加えながら水を凍らせると、通常の氷とは異なる構造の氷ができます。数百万気圧までの範囲で、どんな氷の構造があるかが調べられ、氷には全部で10種類以上あることがわかっています。水のように単純な分子としては異例に多様な結晶構造があるのです。(硫化水素の場合、結晶構造は全部で4種類のみ)

通常の物質は、圧力を変えることで結晶構造は変化しますが、その際には配位数(ある分子のそばにいくつ分子が配置されているか)が必ず変化します。これに対し、氷の場合、1分子に4本の水素結合がつながっている、という点は負圧から超高圧まであらゆる結晶構造で共通です。ただ、全体的な水素結合ネットワークのつながりかたが結晶によって異なります。

氷の構造の違いは、配位数ではなく、ネットワークのつながりかた(トポロジー)の違いで生みだされています。ですから、水の性質は、水素結合ネットワークのトポロジーをよく解析することで、もっともうまく説明できるのではないかと私は考えています。

水の水素結合ネットワークの持つ性質については、別項でもう少し詳しく解説したいと思います。

(2006/8/28)

water Networkism

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